「自律神経失調症」と診断されたら疑いたい顎関節症
アゴの関節に起きる「顎関節症」という症状の存在、そして、多くの不定愁訴やうつ病につながる「自律神経失調症」という症状の存在は広く知られるようになりました。
しかし、いまだに両者が関与し合っていることまでは十分に周知が行き届いているとは言い難い状況です。
アゴの関節は頭蓋骨とつながっています。
顎関節症の方はアゴにずれが起こっているケースが多く、咀嚼行動によって頭蓋骨全体にまでゆがみが伝播して自律神経失調症の引き金になるのです。
また、顎関節症の方は自律神経失調症と同時にうつ病の発症率も高いので、顎関節のずれ、顎関節症と自律神経失調症、うつ病のあいだには、脳や頭蓋骨のゆがみを通した密接な関連性があると考えていいでしょう。
もしも何らかの不快症状から病院を受診して「自律神経失調症」と診断されたならば、少なからず顎関節症の疑いがあると思ってください。
顎関節症に気付くために、以下にリストアップする顎関節症の症状を把握しておくことをおすすめします。
顎関節症の症状・サイン
・虫歯、歯周病、歯肉炎など歯の異常
・味覚障害や吃音など舌に関連する異常
・原因のわからない持続性の頭痛
・酷い眼精疲労やめまいなど目の異常
・耳鳴り、肩こり、首筋の痛み、腰痛
・動悸、乳房の異常、喉の違和感
・手足のむくみや痛み、しびれ
・全身性の不快症状、姿勢不良、低体温
・精神的な不安、情緒不安定、うつ病に該当する症状
食事を咀嚼する時、顎関節には非常に大きな負荷がかかっています。
特に顎関節症の症状を呈しながら無自覚の場合、加減せずに力を込めるために影響は多大なものになるでしょう。
早く症状を解消するためにはなるべく初期のうちに症状の存在に気付く必要があります。
もしもこれらのサインがあるようでしたら、鏡を使って簡単な「顎関節症テスト」をしてみてください。
その結果アゴの関節にゆがみがあれば顎関節症の疑いが濃厚です。
顎関節症テスト
■ 用意する物:顔全体が写るサイズの鏡
■ 手順
鏡の前に姿勢を正して立ちます。身体の正面に鏡が来るように調整して下さい。
次に、鏡をまっすぐみながらゆっくり口を開けましょう。
・開け閉めの際にアゴが左右に動かないか。
・開け閉めの際にアゴの骨がずれる「カチッ」というクリック音がしないか。
・舌を出してみて、左右に曲がっていないか。
・口を閉じた状態で、左右の目と目を繋いだラインと左右の口角を繋いだラインが平行からずれていないか。
・口の開け閉めに痛みが伴わないか。
これらのチェックポイントで、チェックのつく項目が多いほど顎関節症の可能性が高くなります。
顎関節症の可能性が高いのであれば、すぐにでも対策を始めるようにしましょう。
アゴを左右バランスよく使うように心がけるだけでも、関節への負担はかなり軽減できるはずです。
顎関節症を由来とする自律神経失調症なのだとしたら、顎関節症の症状が解消されれば自然と神経のバランスも復調して来ると考えられます。
ただし、神経症状から顎関節症が増悪している場合には双方向からの治療が必要になるので、歯科、内科、神経内科などの受診をおすすめします。