なぜ銀歯は保険が適用されるのにセラミックは適用されないのですか?
歯科治療は、健康保険を使用できる「保険診療」と保険を適用しない「自費診療」があり、行う事ができる治療内容が異なります。例えば、白く美しい歯をいれる事ができるセラミック治療は、保険が適用になりません。今回は、歯科診療における健康保険の仕組み、保険診療と自費診療のメリットとデメリットなどについて詳しく解説します。
Contents
健康保険の仕組み
歯科治療の内容は、健康保険の対象となるものと、そうでない自費診療に分かれています。一般的に歯科医院で虫歯の治療を受ける時などは、ほぼ「保険診療」で行われています。保険診療と自費診療の特徴を解説します。
(1)保険診療とは
保険診療は、病気になった部分を回復するための治療を、医療費を一部負担するだけで受けられる制度です。歯科治療は、国が指定した素材・治療法で行われます。自己負担額は少なくて済みますが、選択できる治療法や技術、使用できる材料が限られているなど、診療の制約が大きいというデメリットがあります。
(2)自費診療とは
公的保険を使わない診療です。健康保険を適用せず、治療費全額を自己負担で行います。保険診療のように、治療法や治療材料に制限がなく、希望に合わせた治療を行う事ができます。最新の設備や材料を利用した最先端の治療を選択できます。
自費診療の治療費用は歯科医院ごとに自由に設定できる仕組みとなっています。
(3)保険診療と自費診療のメリットとデメリット
保険診療と自費診療のそれぞれのメリットとデメリットをまとめます。
a. 保険診療のメリットとデメリット
<メリット>
・ 自己負担額が少ない
・ どの医院でも保険利点が同じ
<デメリット>
・ 治療法や治療材料など治療に全て制限がある
・ 保険制度が複雑で、保険点数の改定も頻繁に起こる
b. 自費診療のメリットとデメリット
<メリット>
・ 治療法を自由に選択でき、制限がほとんど無い
・ 最新の技術を利用できる
・ 満足な治療結果を得やすい
・ 患者さんの要望に応えやすい
<デメリット>
・ 費用が高額になる
・ 内容によっては治療に時間がかかる
・ 医院によって料金が異なる
保険診療は、治療内容に制限にあるのに対し、自費診療は制限が無いため、治療法を自由に選択し、最善の治療を受ける事ができます。自費診療は、費用が高額になる点を除けば、非常にメリットが多いと言えます。
自費診療で行う歯科治療の種類
自費診療では、次の治療を受ける事ができます。
・ セラミック治療(クラウン・インレー・ラミネートベニア)
・ ホワイトニング
・ 歯科矯正
・ インプラント
・ 金属床義歯
・ 歯周病専門治療 など
このように、見た目の美しさを目的とした治療や、高度な機能を求める治療は、保険が適用されませんので、自費診療になります。セラミック治療は、見た目の美しさを目的としているため、自費診療になるのです。
医療費控除について
自費診療のデメリットである「費用が高額」という点をカバーできる仕組みに「医療費控除」という制度があります。
医療費控除とは、自分や家族が1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が10万円を超えた場合に、支払った所得税の一部が返ってくる制度です。この制度は、自費診療で支払った歯科治療費も対象となりますので、利用できる場合には、費用の負担を減らす事が可能です。
【医療費控除の対象となる歯科治療】
全ての歯科治療が医療費控除の対象となるわけではありません。対象となる歯科治療とそうでない治療の具体的な例を紹介します。歯科治療はたくさんの種類がありますので、治療の時に確認するようにしましょう。
(1)医療費控除の対象となる治療
・ インプラント治療
・ 虫歯や歯周病の治療
・ 自由診療による被せ物や詰め物の治療(セラミッククラウン・インレー、ゴールドクラウン・インレー、メタルボンドクラウンなど)
・ 入れ歯の費用
・ 発達段階の子供の歯並びの矯正治療費
・ 成人の噛み合わせ改善のための矯正治療費 など
(2)医療費控除の対象とならない治療
・ 歯を白くする目的でのホワイトニング治療
・ 見た目を美しくするための矯正治療 など
銀歯治療とセラミック治療を比較
最後に、保険適用で行う銀歯の治療と、自費で行うセラミックの治療について比較します。
(1)銀歯の特徴
保険適用の歯科治療で一般的に使われる銀歯は、「金銀パラジウム合金」という金属です。メリットは費用が安いという点ですが、見た目の悪さや歯へのダメージなどのデメリットが目立ちます。
見た目が銀色なので、口を開けた時に目立ってしまうのが難点です。さらに長年使用していると、金属イオンの流出により、歯や歯ぐきが黒ずんでくる事があります。また、金属アレルギーの心配もあります。
(2)セラミックの特徴
自費診療で使う事ができるセラミックは、透明感のある白い歯を再現する事ができ、天然の歯と間違えるほどの自然で美しい歯を手に入れる事ができます。また、見た目だけでなく、機能面でもメリットがあります。表面が滑らかで汚れが付きにくく、隙間ができないよう精密に作られているため、二次虫歯のリスクを減らす事ができます。ただし、自費診療のため、費用は高額になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。保険診療は、病気になった部分を回復するための最低限の治療を受けられる制度です。そのため、最低限の機能を回復する方法として“銀歯”は保険が適用されるのに対し、見た目の美しさを目的としたセラミック治療は、保険が適用になりません。
保険が適用されないセラミックは、自費診療になるため、費用は高額になりますが、美しい見た目や優れた機能を兼ね備えた、良い歯科材料です。
保険内診療では、治療法や治療材料に制限がありますが、自費診療は、制限無く、患者さんの要望に合った治療を行う事ができます。自分の目的に合った治療法を選択していきましょう!