どの歯の色も白くて綺麗なら、口内は健康だと判断していいですか?
答えは、ノーです。お口の中の健康は、歯の白さなどの見た目だけでは判断できません。
お口の中に起こる病気で、2大疾患と言われているのは「虫歯」と「歯周病」ですが、いずれも歯の色だけでは進行状態を判断する事はできません。虫歯と歯周病、それぞれの場合に分けて、詳しく解説します。
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歯の色が白くて綺麗でも虫歯に注意!
鏡でお口を見た時に、歯の色が白く綺麗だからといって、「虫歯が無い」と安易に考えないようにしましょう。見えない所に虫歯ができる場合や、黒く無い虫歯もあります。
見えない所にできた虫歯に注意!
虫歯の好発部位は、「歯の根元」「噛み合わせの面」「歯と歯の間」です。特に歯と歯の間部分にできた虫歯は、鏡で見ただけでは気がつかない事が多く、注意が必要です。一見、歯の色が白く見えても、歯と歯の間から虫歯が始まっている事があるのです。歯と歯の間の見えない所にできた虫歯も、中で大きく広がっている場合もあります。
このような自分ではわかりづらい部位の虫歯を早期発見するためには、定期検診を受けて、きちんと歯科医師に虫歯のチェックをしてもらう事が大切です。
黒く無い虫歯に注意!
「虫歯」というと、黒色や茶色をイメージする人が多いかもしれません。しかし虫歯は、必ずしも黒色や茶色をしているわけではありません。
・ 初期虫歯(CO)
「シーオー」と言われる状態で、歯が溶け始め、虫歯になりかけている歯です。歯のエナメル質の中からミネラルが溶け出しています。穴は開いていないので、厳密にはまだ“虫歯”にはなっていません。
この状態の歯は、歯の表面が白濁したような色になります。白い歯ではありますが、虫歯になる前段階なので、注意が必要です。健康な歯と比較して、濁ったような白色になり、表面がザラザラと見える事があります。
・ エナメル質の虫歯(C1)
歯の表面のエナメル質が虫歯になった状態になります。歯に黒い斑点が付く場合もありますが、全体的に黄色く溶けてくる事もあります。黒色をしていないと目立たないので、歯が白くて健康だと感じてしまう事があるので、注意が必要です。
・ 乳歯の虫歯
「乳歯の虫歯は白い」と言われています。乳歯は歯が柔らかく、虫歯の進行が早いため、白色もしくは黄色っぽいまま進行していきます。お子さんが居る方は、「歯が白いから虫歯では無い」と思わずに、定期健診を受けさせて、お子さんの歯を守っていきましょう。
歯の色が白くて綺麗でも歯周病に注意!
歯周病の歯の色は関係がありません。歯周病は“歯ぐきの病気”です。歯が白くて綺麗でも、歯周病に罹患している可能性があります。
歯周病の進行に歯の色は関係が無い
歯周病は、歯周病菌の感染によって、歯ぐきや歯を支える骨(歯槽骨)といった歯周組織に炎症が起きる病気です。歯ぐきの腫れや出血などの症状から始まり、進行すると歯槽骨が溶かされていきます。重度にまで進行すると、最終的には、歯が抜け落ちてしまいます。
“歯ぐきの病気”であるため、歯の色は全く関係がありません。
歯周病は自覚症状が少ないまま進行するので注意!
歯周病は、痛みなどの自覚症状が少ないまま進行していくという特徴があります。痛みが強くなる頃には、歯周病は重度にまで進行し、大部分の歯槽骨が既に溶かされて、手遅れになってしまう事があります。
歯ぐきのわずかな腫れや出血に気がついた段階で、受診し対処をすれば、歯周病の進行を食い止める事が可能です。
「歯が白くて綺麗だから」と安心していると、手遅れになってしまう事もあるのです。歯周病と歯の色は全く関係がありませんので、一見歯が綺麗だと感じても、きちんと定期検診を受け、歯ぐきのチェックを受ける事が大切です。
歯の色はどのように決まるか
歯の色は、人それぞれ異なります。人種によっても異なり、日本人は欧米人と比較すると黄色味がかった歯の色です。「歯が白くて綺麗」と「歯が健康である」はイコールではありません。歯が黒色や茶色になっている場合には、虫歯の疑いもありますが、自分の歯が真っ白でなくても、歯の健康を不安に感じる必要はありません。審美的に歯の黄ばみが気になる場合には、状態に応じて、歯のホワイトニングや歯の表面のクリーニングを受けるのをお勧めします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。歯の色が白くて綺麗でも、お口の中が健康だとは限りません。歯の色で健康状態を判断する事は出来ないのです。お口の中の二大疾患と言われる「虫歯」と「歯周病」について、注意するべきポイントを最後にまとめたいと思います。
(1)虫歯
・ 歯と歯の間など見えない所にできた虫歯に注意しましょう
・ 黒くない虫歯「初期虫歯(CO)」「エナメル質の虫歯(C1)」「乳歯の虫歯」に注意しましょう
(2)歯周病
歯周病の進行に、歯の色は関係がありません。歯が白く綺麗でも、定期検診を受け、歯ぐきのチェックを受けるようにしましょう。