親の歯並びが悪いと子供の歯並びも悪くなりますか?
矯正、インビザラインを行っている南浦和の歯医者さん、くろさき歯科です。今回は、親の歯並びが悪いと子供の歯並びも悪くなるのか、について解説いたします。
親の歯並びと子供の歯並びは、必ずしも遺伝するとは限りませんが、遺伝する可能性が大きくなります。親から子へ、骨格などが遺伝するためです。しかし、子供の歯並びが悪くなる要素は、遺伝だけではありません。子供の歯並びを決定づけるものは「遺伝」と「環境」です。
Contents
歯並びと遺伝の関係
両親の歯並びと、子供の歯並びは関係があると言われています。「顎の形や大きさ」「歯の形や大きさ/数」「唇の形や大きさ」など歯並びをつくる要素が遺伝するためです。しかし、環境的な要因も大きいため、歯並びに遺伝が影響するのは3割程度だと言われています。
骨による影響が強い歯並び/噛み合わせは遺伝する可能性が高くなります。例えば、「上顎前突(いわゆる“出っ歯”)」や「下顎前突然(いわゆる“受け口”)」は、上顎と下顎の骨の大きさのアンバランスによる影響が大きく、遺伝する可能性が高くなります。両親どちらかが「上顎前突」「下顎前突」であった場合には、子供に矯正が必要かどうか早めに判断するためにも、小さなうちから定期検診を受ける習慣をつけておくと安心です。
歯並びと環境の関係
歯並びに影響する環境とは、「日々の姿勢や癖」「食生活」「ひどい虫歯」が挙げられます。歯並びの7割は、環境的な要因によるものです。早い時期から悪い習慣を見直していく事で、歯並びが悪くなるのを防ぐ事ができます。歯並びと関係する環境的要因の具体的な例をいくつか紹介したいと思います。
(1)指しゃぶり
指しゃぶりをする癖は、開咬(かいこう)や上顎前突(出っ歯)のリスクが高まります。開咬とは不正咬合のひとつで、上下の歯を噛み合わせた時に、上下の奥歯は噛み合っていても、前歯が開いてしまって噛み合わない状態です。2歳頃までの指しゃぶりは、赤ちゃんの頃の癖が残っているなど、精神安定の役割があるので、無理に止めさせる必要はありません。3歳を過ぎても指しゃぶりが続いているようであれば、他に興味を逸らすなどして徐々に止めさせていく事が必要です。5歳過ぎても続いているようであれば、一度歯科医院に相談する事をおすすめします。
(2)口呼吸
本来、呼吸は鼻でするものです。鼻炎や風邪の影響から口で呼吸をする事が習慣になってしまっていると、歯並びが悪くなる可能性があります。
歯並びは、唇・頬・舌からの圧力が等しい場所に位置するようになっています。唇と頬が歯を内側に押す力と、舌が歯を外側に押す力のバランスが大切なのです。口呼吸をしていると、舌が歯を外側に押す力の方が強くなり、歯並びのバランスが乱れ、上顎前突(出っ歯)などのリスクが高まります。
(3)舌癖
口呼吸とも関係しますが、舌で歯を内側から押す癖がある場合も、歯並びのバランスが乱れ、上顎前突(出っ歯)や開咬などのリスクが高まります。
(4)悪い姿勢
特に左右のバランスが悪い姿勢、歯に負荷をかける姿勢は、歯並びが乱れる要因となります。うつぶせ寝・横向き寝・猫背・腕組み・足組みなどは、身体の骨格に歪みを生じ、歯並びのバランスの乱れを招く恐れがあります。
(5)左右どちらかの歯ばかり使う癖
そちらか一方でばかり噛む癖をつけてしまうと、歯並びのバランスが乱れる可能性があります。
(6)やわらかいものばかり食べている
やわらかいものばかり食べていると、奥歯でしっかりと噛む習慣が身に付きません。顎がしっかりと成長しなければ、歯が正しく並びません。
(7)ひどい虫歯
「乳歯は永久歯に生え変わるから、虫歯になったもたいして問題ない」と思っている人も少なくありません。しかし、乳歯の虫歯を放置すると、その後生えてくる永久歯の歯並びにも影響する可能性があるので、注意が必要です。乳歯は、永久歯が正しく生えてくるための道しるべとしての役割もあるため、生え変わりの時期まで、きちんと虫歯予防をし、虫歯がある場合には早めに治療する事が必要です。
先天的なものが影響している場合
遺伝とは関係の無い、先天的なものが歯並びに影響する事がありますので、紹介したいと思います。
(1)上唇小帯の異常
上唇小帯というのは、上唇の裏側中央にある「筋」のような組織です。この上唇小帯が長過ぎると、上の前歯が生えてくる時に邪魔になってしまい、前歯の中央が空隙歯列(すきっ歯)になってしまう事があります。
(2)歯の先天的欠如
本来生えてくるべき歯が生えてこない事があります。先天的欠如はそれほど珍しい事ではなく、おおよそ10人に1人に先天的欠如歯があると言われています。先天的欠如歯があると、両隣の歯が傾いてきたり、移動するなどして、全体の歯並びに悪影響を与える事があります。
(3)過剰歯
欠如歯の反対で、本来生えてこないはずの歯が過剰に生えてくることです。過剰歯があると、本来生えてくるべき歯を圧迫するなどして、全体の歯並びを崩してしまう可能性があります。
両親の歯並びが悪かった場合にできること
ここまでの説明で、歯並びに関係するのは、遺伝だけでは無いという事がおわかりいただけたでしょうか。両親の歯並びが悪かったとしても、後から加わる環境的な要因を取り除く事で、子供の歯並びが良くなる事が十分にあり得ます。遺伝的な要因から子供の歯並びが心配な場合には、虫歯等の定期的なチェックも含めて、早いうちから定期的に歯科受診をするようにしておくと安心です。また、歯並びに悪影響を与えている習慣に両親や本人が気付いていない場合でも、歯科受診によりチェックしてもらう事ができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。歯並びが悪くなるのには、親の歯並びが影響する「遺伝的要因」と「環境的要因」があります。
ですから必ずしも、親の歯並びが悪いからといって、子供の歯並びが悪くなるとは限らないのです。「遺伝的要因」が3割、「環境的要因」が7割といわれています。両親の歯並びが悪いなどで、遺伝を心配している方は、環境的な要因を取り除くように注意すると共に、歯並びの異常等に早めに気がつくよう歯科医院の定期検診を受ける習慣をつけておくと良いでしょう。