「オーラルフレイル」を知っていますか? 歯・口の衰えにご用心!
私たちの身体は年齢を重ねるたびに衰えていくもの。その中でも口内の衰えを指す言葉として、ここ最近「オーラルフレイル」という言葉が使用されるようになりました。
オーラルフレイルは平成元年から行われている「8020運動(80歳で20本以上の健康な歯を持ち、自分の歯で噛むことを目指す運動)」と同じように日本歯科医師会などが今後積極的に浸透させようとしている言葉です。
今回はこのオーラルフレイルの特徴や症状、原因について紹介していきます。
Contents
オーラルフレイルの症状
オーラルフレイルの初期症状としては口内の乾燥や滑舌悪化、食べこぼしや噛めない食品が増えるなどの些細なものが中心です。
これらの症状が気になる方はオーラルフレイルに当てはまる可能性があります。
オーラルフレイルの原因
前述した症状に心当たりがある場合は「何故その症状に陥ってしまったのか」を知ることが大切です。オーラルフレイルになる要素としては主に「社会性の欠如」「食生活の悪化」「口内環境の悪化」「運動不足」などが挙げられます。
●社会性の欠如
年齢を重ねると次第に周りとの付き合いや友達との食事をする機会が減り「誰かと一緒に何かをする」ということが少なくなります。これがオーラルフレイルを進行させる原因となります。
●食生活の悪化
栄養が偏った食生活が続いてしまうと、そこから全身に悪影響が及びます。それによって身体機能が低下し、口内の筋肉が低下することによってオーラルフレイルが引き起こされます。
栄養が行き届かない状態が続くと身体が重くなり運動機能が低下することも、オーラルフレイルを助長させる要因といえるでしょう。
●口内環境の悪化
歯磨きを怠るなど、口内環境を悪化させて虫歯や歯周病を引き起こしてしまうと無意識に患部に刺激を与えないように噛む力を衰えさせてしまいます。これは滑舌を悪化させたり、食事がしにくくなる原因につながるため、口内環境を維持することもオーラルフレイル予防に役立つといえるでしょう。
●運動不足
オーラルフレイルとロコモティブシンドロームには関係があり、実はロコモティブシンドロームの前兆に当たるものがオーラルフレイルと考えられています。ロコモティブシンドロームは運動不足が原因の1つとして考えられていますが、この症状が発生する前に、オーラルフレイルの症状が見られるのです。
身体の筋肉が衰えるとさまざまな部分に影響をきたし、全身運動を行う気力が衰え、さらに身体の筋力が低下する……という悪循環が続きます。それにより顎の筋肉が衰え咀嚼機能が衰え……となるのです。
これらのサイクルが続くことによりオーラルフレイルを引き起こし、ロコモティブシンドロームにつながる可能性があるため、適度な運動は続けていくべきだといえます。
オーラルフレイルの認識を広める意義
オーラルフレイルという言葉はまだまだ国内での認知度が低く、対策方法としても「ただ歯を磨けばいい」と考えられがちですが、実はそれだけでは改善につながりません。
「口内の予防は口内の環境を良くすれば何とかなる」というわけではなく、運動や社会性の改善など、今以上に複合的な目線で解決に向かっていくことが大切です。
高齢者が増えている社会において、オーラルフレイルへの知識を深め、対策を講じていくことが重要なポイントなのです。